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最高裁判所第一小法廷 昭和23年(れ)643号 判決

主文

本件上告を棄却する。

理由

被告人上告趣意について。

しかし、本件賭博は假りに所論の縷述するような賭金の小額なこと等の事情があるとしても、骨牌を使用し偶然のゆえいに關し金銭の得喪を争ったものであることは、判文上明らかなところであって、單に一時の娯楽のためにしたもので罪となるべきものでないとはいえない。そして賭博の常習者として二回までも處罰された者がさらに犯した賭博であるとしたら、それが單に最後の前科のときから三年餘の後の犯行であるというだけの事由で、賭博を反覆累行する習癖のあらわれでないとは必ずしもいうことができない。されば、原判決において判示した被告人の前科の事跡からして、本件賭博を常習賭博と認定したからといって、原判決は違法であるとはいえない。その他相被告人西沢に對して第一審裁判所が罰金を科したのにかかわらず、被告人に對して原審が懲役刑を科したとの刑の権衡に關する非難並びに原審が被告人に執行猶豫の言渡をしなかったこと等に關する所論は結局事実裁判所たる原審の裁量権に屬する事実の認定と刑の量定を非難するにすぎないものであるから上告適法の理由とはならない。

よって刑訴第四四六條に則り主文の通り判決する。

この判決は裁判官全員の一致した意見である。

(裁判長裁判官 沢田竹治郎 裁判官 真野毅 裁判官 齋藤悠輔 裁判官 岩松三郎)

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